基準と指標(Criteria and Indicator, C&I)を具体的に算出するには、まず事業を取り巻く環境とその変化が反映される(と考えられる)データを得なければならなりません。ここでは、このようなデータを総称して「環境データ」と呼ぶことにします。環境データは、センシング技術やコンピュータモデリング技術を用いて得ることができます。
センシングには、計測器で直接測ることができるものの他に、航空機や人工衛星、最近ではドローン等を用いたリモートセンシングによるものがあります。気象、河川、公共水域の水質等の測定データは国や自治体のウェブサイトから入手することができる環境データの一例です。
コンピュータモデリングには、大気、陸、海を対象とした様々なものがあります。数値シミュレーションによって流体や地層の挙動を捉えようとするものです。陸域でのごく一例を挙げると、降雨変化をインプットとした河川や地下水の流れのシミュレーションや断層からの地震波の伝播による地盤の振動シミュレーションなどがあります。
どちらを用いるにしても、それらの環境データが得られた前提条件や適用範囲を専門家と共に十分に明らかにすることが大切になります。
刻々と変化する環境データから従来は困難であった特徴が抽出できたり、その計算効率が飛躍的に向上するなど、近年では様々な手法が考案されてきています。競合関係にあるステークホルダーのための多目的最適化、不均質でばらつきが顕著な環境データに対する不確実性や感度構造の定量化、詳細なシミュレーションモデルの入出データの関係を学習するサロゲートモデルなどはその一例です。
このようにデータを中心として、C&Iの評価にスムーズに繋げることを可能とするセンシング、モデリング及び周辺テクノロジーを統合化し、効果を可視化して、PDCAサイクルに沿った監視と改善の履歴をビックデータとして蓄積することは、質の高い監視を目指す環境データサイエンス(Environmental Data Science)の最も重要なアプローチの1つと考えられます。
ブルーアースセキュリティは、21世紀の環境データサイエンスを支えるユニークな技術開発に取り組んでいます。